熊本地震が九州の小売業の明暗を分けている。15日までに出そろった小売り・外食の主要上場企業の2016年3~5月期決算は、7社中4社で経常損益が改善した。
震災で日用品や家電製品の売り上げが伸びたスーパーや量販店が収益を伸ばした一方、消費マインドの低迷や長期の営業停止により百貨店や外食は苦戦を強いられた。

今回は熊本地震の影響を反映した初の決算となる。

イオン九州の経常損益は900万円の黒字(前年同期は13億円の赤字)となり、四半期開示を始めた05年以来、同期間として初めて黒字転換した。震災後、4月中に総合スーパー(GMS)全店舗で営業再開し、被災者のニーズを取り込んだ。被災を免れた地域では、「さつま姫牛」など品質にこだわった商品が好調で、利益率が改善した。

マックスバリュ九州も経常利益が前年同期比3.6倍の5億2300万円と大幅に改善した。イオン本社と連携し、物資を空輸で被災地に届けるなど、震災直後も営業活動を継続。ベスト電器でもテレビや冷蔵庫などで復興需要を取り込み、経常利益は7.4倍の4億5400万円だった。

一方、地震は百貨店や外食に逆風となった。

博多大丸の経常利益は33%減の3億1100万円。
中国政府が九州への渡航を自粛する勧告を出したことで、インバウンド(訪日外国人)需要が落ち込んだ。九州全域で消費マインドが低迷し、高額品販売も苦戦した。
井筒屋の経常利益も1億6600万円と49%減った。

弁当店「ほっともっと」を展開するプレナスは震災後、安全性を考慮し一時メニューを絞ったほか、人手不足や品薄で営業時間も短縮した。直営店からフランチャイズ店への移行が進んだことも響き、経常利益は43%減の12億円だった。
7社中5社が震災関連の特別損失を計上したが、中長期的な影響は限られる見通しだ。

2016.7.16.付 日経新聞より