フランチャイズ本部構築・立ち上げのための10のステップ

「フランチャイズ本部を立ち上げるステップってどうすればいいんでしょうか?」

「契約書を作らなければならないというのは分かるのですが、それ以外にどんな準備をすればいいかがわからなくて…」

こんなご質問をよくいただきます。

フランチャイズ契約書を作ったから、繁盛している直営店を持っているからといって、フランチャイザー(フランチャイズ本部)が、すぐに始められるわけではありません。

フランチャイザーとしてスタートするためには、本部に求められるさまざまな要件をクリアし、必要な機能を構築し、本部としての体制を整備することが不可欠です。

そこで、フランチャイズ本部として、加盟店の募集を開始するまで(このことを「フランチャイズ本部構築」「フランチャイズ本部の立上げ」「フランチャイズ展開の準備」などと呼んでいます)の基本的な手順を以下の10ステップに分けて、ご案内いたします。

  • Step1|フランチャイズ事業の責任者・専任者の選定
  • Step2|理念体系の明確化
  • Step3|ビジネス・パッケージの明確化
  • Step4|ビジネス・パッケージのブラッシュアップ
  • Step5|ビジネス・パッケージの標準化、見える化
  • Step6|フランチャイズシステムの内容決定
  • Step7|フランチャイズ本部機能の整備
  • Step8|本部組織作り
  • Step9|加盟店開発体制の整備
  • Step10|加盟店開発スタート

フランチャイズ本部を立ち上げる10ステップは、新規事業への進出を図るくらいの労力が求められる、仕組みづくりの作業です。
通常は、プロジェクト方式で関係するメンバーが集まって、フランチャイズパッケージの内容を固め、本部として必要な機能整備に向けての計画策定と実際の運営に向けた様々なツール整備が必要となります。
それでは、その一連のステップを一つずつ見ていくことにしましょう。

Step1|フランチャイズ事業の責任者・専任者の選定

フランチャイズ本部立上げ時の責任者は、トップといつでもダイレクトにコミュニケーションがとれ、社内の各部門との調整もすぐにできるレベルの人材を充てることが重要です。
古い習慣や既成概念にとらわれず、自由で前向きな発想・行動ができる人がふさわしいでしょう。
そして、何よりも事業に対する経験と愛情を持っている人が最適です。

初期の段階は他の業務との兼任でも構いませんが、本部立ち上げを加速し、成功の確率を上げるには早い段階で専任者が必要です。いつまでも他業務との兼務で進められるほどフランチャイズ本部の立ち上げは簡単ではありません。

フランチャイズ本部を立ち上げるためのプロジェクトがまず取り組むのが、フランチャイズパッケージ⋆の内容を明確にしたうえで、標準化、見える化するために、理念体系、ビジネス・パッケージ、フランチャイズシステムの概要を明確にし、標準化したうえで加盟希望者に対して見える化するというのが次のステップです。

フランチャイズパッケージ

*フランチャイズパッケージとは、
理念体系、ビジネス・パッケージ、フランチャイズシステムの集合体で、フランチャイズ本部が加盟店に提供する商品だと考えてください。

Step2|理念体系の明確化

フランチャイズ・チェーンは“理念共同体”と呼ばれています。
そこで、フランチャイズ本部を立ち上げる際には、まず、チェーンとしての理念を明確にし、本部スタッフが理念を共有したうえでフランチャイズ本部立ち上げ業務を推進することが成功への第一歩となります。

プロジェクトメンバーによって、現在の会社の理念や行動規範、創業者の思いなどをもとにフランチャイズ加盟希望者に向けて共感を得られるような内容にブラッシュアップして明文化します。

理念体系を明文化する際の基準となる表現は以下を参考にしてください。

<理念体系>

〇事業コンセプト
当該事業のコンセプトを明確にしたもの
〇チェーンの存在価値規定
当該事業が社会に対してどんなベネフィットを提供するかを示しもの

〇経営理念規定
事業コンセプト、存在価値規定に基づき、どういった方針と姿勢で企業や本部を運営していくか明確にしたもの

〇チェーン化の目的規定
チェーン化により実現すべき事柄、状態を明確にしたもの。
加盟者の対象や加盟後の経営活動を方向付ける。

Step3|ビジネス・パッケージの明確化

理念体系が明文化できたら、次はフランチャイズ化しようとする業態を明確にします。

自社が直営で何店舗か運営している場合、ブランドは同じだけれど、規模もオペレーションも商品構成も少しずつ異なるということはよくあります。そこで、実際にフランチャイズ化する業態を明確に規定します。
ブランド、ターゲット、商品構成、オペレーション、収益モデルなどを明確にして本部内で共有化します。
ブランドも業態は同じだけれど、立地が異なるなどの複数のビジネス・パッケージを同時にフランチャイズ展開する場合もあります。
その場合は、パッケージごとに標準化を行う必要があります。

Step4|ビジネス・パッケージのブラッシュアップ

明確化されたビジネス・パッケージについて、収益面をはじめ、競合他社との差別化を強化し、より魅力あるものに再構築し、加盟希望者に魅力を感じてもらえる内容にブラッシュアップします。

収益面においては、本部に対してロイヤルティなどを支払ったうえで、一定以上の利益が確保できる魅力ある水準が求められます。
この段階で初期投資額の削減や原価、営業費用の低減などに取り組んで、営業利益率の向上を図り、投資回収期間の短縮を行います。
収益面では、投資回収期間を3年以下、オーナー収入を年間800万円以上などの目標設定を行って、改善、検証を繰り返します。
また他社との差別化においては、商品面での差別化、営業面での独自の取り組み、マネジメント面での効率性など他社にない売り物をどれだけ持てるかが大事なポイントとなります。

そして、自社ブランドの認知度を高め、早い段階で競合他社に勝るブランド認知を実現することが魅力度アップの切り札となります。

Step5|ビジネス・パッケージの標準化、見える化

このステップは、ブラッシュアップされたビジネス・パッケージの運営の標準化と見える化です。
フランチャイズ展開では、同じブランドで複数店展開することが求められます。そのためには、店舗運営業務の標準化が不可欠です。

業務の標準化には、オペレーションマニュアルなどの作成が必要となります。実際の店舗にける業務を標準化して、マニュアル化して見える化するのがこのステップでの取り組みです。

フランチャイズチェーンにとって、ブランドは命です。

したがって、ブランドの商標登録も欠かせない業務となります。
商標登録は先願主義ですので、できるだけ早い段階での申請が求められます。

また、フランチャイズチェーンとしての加盟希望者に対するセールスポイントの明確化も重要です。
その本部に加盟するメリットを明確に発信することで加盟者に対して加盟促進をアピールできるのです。

さらに、次のステップで検討するフランチャイズフィーを参考にしたうえで、標準的な初期投資と損益モデルなどを作成します。

ビジネスパッケージのまとめ方について簡単に整理すると、
ブランド、顧客ターゲット、商品(サービス)構成、立地、店舗の形態、店舗の意匠、初期投資、標準損益モデル、運営方法などを標準化、見える化するのが、このステップです。

Step6|フランチャイズシステムの内容決定

理念体系とビジネス・パッケージの標準化、見える化の推進と並行してフランチャイズパッケージの明確化の作業の最後に取り組むのが、フランチャイズシステムの明確化です。

フランチャイズシステムは、フランチャイズ本部と加盟店間の権利と義務などを明文化したもので、フランチャイズ契約書に記載される内容となります。

フランチャイズシステムの概要を決める際には、本部の加盟店サポート内容を明確にするというところから始まります。開業前、開業時、開業後に本部が加盟店の運営をサポートするために具体的にどんなことを実施するのかを明確にします。そして、その対価として加盟店から加盟時と加盟後定期的にどんな名目でいくらくらいの費用をいただくのかを決めます。
これが、加盟金やロイヤルティと呼ばれるフランチャイズフィーとなります。

さらに、テリトリー規定や競業避止義務そして守秘義務など、加盟店に課す義務についても具体的に決めて契約書に反映させます。
これらのステップを経て、フランチャイズ契約書を完成させます。

さらに、中小小売商業振興法と独占禁止法のガイドラインに基づいて作成が義務付けられている法定開示書面と呼ばれる書面を作成します。

Step7|フランチャイズ本部機能の整備

次に、フランチャイザーとしての成功に向け、本部として保持すべき機能整備に向けた計画立案を行います。

フランチャイズ本部に必要な機能は、下図のように10の機能があります。

それぞれ重要な機能ですが、この段階で一気に具体化させる必要はありません。ただ、加盟店の拡大に応じてどの程度の機能整備が必要かという計画は必要となります。

(テキスト)フランチャイズ本部に必要な機能;加盟店をサポートする機能、加盟店を増やす機能

加盟店が増えてから整備しようとしてもなかなか体制整備が追いつきません。
まずは、最初の段階でそれぞれの機能について、いつまでにどういったレベルまで機能整備を行うのかを具体的に計画する必要があります。
そして、加盟店の拡大計画に基づいて先行的に整備していくことが求められます。

Step8|本部組織作り

必要な本部機能に基づいて、本部組織作りに取りかかります。下の図が、フランチャイズ本部組織の例です。

フランチャイズ本部運営は、スピードが求められます。

そこで、組織の意思決定を早めるために、できるだけフラットな組織構成が望まれます。
また、あまり収益のあがらない初期の頃にはそれほど多くの人員を揃えることは困難です。従って、本部を立ち上げた初期の頃は一人がいくつかの業務を兼務してこなすことも求められます。
フランチャイズ本部は少ない人員で多店舗を運営するための仕組みづくりが成功の鍵となります。

Step9|加盟店開発体制の整備

フランチャイズ本部としての初期の成功は、加盟店開発にかかっています。
加盟店開発推進に向けては、加盟店開発のためのツール作成、加盟見込者の発掘のための具体的な手法立案など行います。
加盟店開発に必要なツールとしては、フランチャイズ契約書と法定開示書面、自社のフランチャイズパッケージを説明するためのパンフレットやDVD(動画)、さらに加盟希望者向けのHPなどがあります。
そして、加盟店開発用のツール類の整備ができたら加盟店開発活動を推進するための専任者の配置が必要となります。

フランチャイズ本部立ち上げの初期段階で最も重要な役割を担うのがこの加盟店開発担当者です。
加盟店開発担当者は、いわゆる営業担当です。いかに新規の加盟店希望者を発掘して成約するかということが最大の役割となります。

加盟店開発の体制が整ったら、加盟店開発計画の立案を行います。
フランチャイズ本部機能整備の際に大まかな加盟店開発目標の設定は終わっていますが、さらに具体的に3~5年間の加盟店開発計画を立案します。
特に初年度から2年目目までは、月次ベースで具体的な加盟契約及び開業計画を立案します、そして、その計画数に対応して、加盟見込み者を発掘するための広告宣伝計画などを立案します。さらに、その計画をベースにして広告宣伝活動にかかわる必要経費予算の立案も行い、実際の活動に結び付けていきます。

Step10|加盟店開発スタート

加盟店開発を実施するために準備が整ったら、いよいよ加盟店を集めるための業務をスタートさせます。

つまり、フランチャイズ本部として世の中に正式にデビューするということです。

加盟希望者をできるだけ多く発掘するために、外部に向けて多くの情報発信を行います。
実際の加盟店開発のための活動としては、説明会、見学会の実施や展示会への出展などがあります。
また、そういったところに加盟見込み者を集客するための広告宣伝として、DM送付やSNS広告の実施などを行います。加盟希望者への告知に関しては、ターゲットによって様々な手段があります。自社フランチャイズへ加盟してもらいたいターゲットを明確にしたうえで効率の良い媒体の選定や自社HPへの誘導方法の開発などを行うことが求められます。

ターゲットの設定には、個人、法人、同業者、異業種、法人の事業規模などいくつかの要件をもとに絞り込みます。ターゲットが広いと対象者も増えますが、告知のためのコストも増加するのである程度の絞り込みを行ったほうが効率的な活動が可能となります。

まとめ

以上、フランチャイズ本部を立ち上げるための基本ステップのポイントをご案内しました。
もう一度、見出しを確認してみましょう。

Step 1|フランチャイズ事業の責任者・専任者の選定
Step 2|理念体系の明確化
Step 3|ビジネス・パッケージの明確化
Step 4|ビジネス・パッケージのブラッシュアップ
Step 5|ビジネス・パッケージの標準化、見える化
Step 6|フランチャイズシステムの内容決定
Step 7|フランチャイズ本部機能の整備
Step 8|本部組織作り
Step 9|加盟店開発体制の整備
Step10|加盟店開発スタート

これらは、ビジネスの業態の特徴、店舗規模の大小によらず、FC本部のスタートまでにやるべき共通したことです。
実施する期間としては、最短でも4か月くらい、通常は6~8か月くらいかかります。
自社単独で取り組めるという方は、上記ステップを参考にして社内プロジェクトを発足させて、スタートしてみてください。

一方、自社だけではやはり自信がないという経営者の方は、弊社にお問い合わせください。
弊社コンサルタントが御社メンバーと一緒になってプロジェクトをリードいたします。
これまで300社近くのフランチャイズ本部の立ち上げを支援してきた実績を持つ、弊社コンサルタントがプロジェクトをリードすることで、フランチャイズ本部運営に必要なツール作成やマニュアルなどはスケジュール通りに整備することができ、整備内容に漏れなく、計画通りのスケジュールで、フランチャイズ本部として活動を開始することができます。

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