
2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法に基づき、カスタマーハラスメント対策が事業主に義務づけられました。
業種や企業規模を問わず、従業員を雇用する企業には、方針の明確化、相談体制の整備、発生後の適切な対応などが求められます。お客様との接点が多いフランチャイズチェーンにとって、経営者自らが取り組むべき課題です。
こうした中、日本マクドナルドは9月28日、カスハラに対する基本方針の策定を発表しました。その根底にあるのは、お客様を大切にする姿勢と、従業員の安全や尊厳を守る姿勢を両立させる考え方です。従業員の心身の安全と健康を事業の根幹に位置づけた点は、私たちも学ぶべきでしょう。
同社は、過度な金銭補償の要求、暴言や土下座の強要、長時間の拘束、無断撮影や従業員の画像のSNS投稿などを対象行為として例示しています。カスハラと判断した場合には、状況に応じて対応やサービス提供を中止し、施設利用を断ることもあると明示しました。警察への通報や弁護士との連携に加え、相談体制、教育・研修、被害者のケア、再発防止も掲げています。
注目したいのは、正当な意見や要望を排除せず、丁寧な対話を続けると明記していることです。苦情には、商品やサービスを改善する貴重な情報が含まれます。要求内容と伝え方の双方を確認し、誠実に対応すべき意見と、従業員を傷つける言動を見極めることが大切です。
企業がまず行うべきは、「従業員を守る」という経営者の意思を、現場の行動に落とし込むことです。責任者への引継ぎ、複数人での対応、記録の保存、専門家への相談などの手順を定め、スタッフが一人で抱え込まない体制をつくりましょう。
相談窓口を設けるだけでなく、相談者のプライバシーを守り、相談を理由とする不利益な扱いをしないことも周知する必要があります。発生後は事実を確認し、被害者への配慮と再発防止まで進めることが求められます。
フランチャイズでは、各加盟店が雇用主として対策を実行し、本部が共通方針、マニュアル、研修、相談支援を整える連携が重要です。SVも事例の共有や対応訓練を通じて、仕組みが現場で機能しているか確認していきましょう。
従業員が安心して働ける店舗は、お客様にも安定したサービスを提供できます。今回の義務化を、働く人からもお客様からも信頼されるチェーンづくりの契機にしていきたいものです。






