
フランチャイズ本部の運営には、様々なマニュアルがなければ、チェーンを拡大、発展させることはできません。ここではフランチャイズ本部に必要なマニュアルについて考えてみます。
[参照ページ]フランチャイズ本部には、必要な10の機能がある
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マニュアルは本部のバイブル
フランチャイズ・チェーンでは、加盟店が本部の方針やノウハウに忠実に活動することが成功につながります。その方針やノウハウを標準化、ビジュアル化したものがマニュアルです。
本部ノウハウは、マニュアル化されて初めて加盟店に対して伝達することが可能となります。そして、ノウハウ修得の場が研修です。
したがって、フランチャイズ・チェーンにおいては、マニュアルこそが本部のバイブルであり、研修の際の唯一のテキストとしての役割を担っているのです。
市販の一般的な書籍をテキストにしても実際のノウハウは身につきません。本部の理念は理解できません。
FC本部がそのノウハウを効率的に加盟店に提供するためには、マニュアルの整備が最も重要な要件となるのです。
FC本部のマニュアル体系
フランチャイズ・チェーンにおいては、マニュアル内容や必要項目などは業態や本部ノウハウによって自ずと違ってきます。とはいえ、フランチャイズ・チェーンに共通のマニュアル体系はあります。
一般的にフランチャイズ・チェーンで作成されているマニュアルをテーマ別に紹介します。
フランチャイズ本部のマニュアル体系例(加盟店向け)
フランチャイズ本部のマニュアル体系例(加盟店向け)
- オーナー(店長)マニュアル(オーナー(店長)としての心構え、経営に関するマニュアル)
- オペレーションマニュアル(事業運営全般に関するマニュアル)
- クレンリネスマニュアル(店舗清掃に関するマニュアル)
- クレーム対応マニュアル(顧客クレーム対応に関するマニュアル)
- 危機管理マニュアル(緊急時対応に関するマニュアル)
- 事務処理マニュアル(事務処理、本部報告に関するマニュアル)
フランチャイズ本部のマニュアル体系例(本部スタッフ向け)
- 加盟店開発マニュアル(加盟店開発業務に関するマニュアル)
- 立地判定マニュアル(出店立地を判定するためのマニュアル)
- スーパーバイザーマニュアル(スーパーバイザー業務に関するマニュアル)
- 危機管理マニュアル(緊急時対応に関するマニュアル)
- 事務処理マニュアル(本部事務処理と加盟店からの報告に関するマニュアル)
- オープニングサポートマニュアル(加盟店の開業業務に関するマニュアル)
上記以外にも、最近は個人情報の取り扱いに関するものやコンプライアンスなど法整備に伴って企業に要求されるものも本部として整備することが要求されます。
マニュアル作成の手順と留意ポイント
マニュアルはテーマに関わらず、効率的な作成手順と留意すべきポイントが存在しますので、ここで紹介します。
マニュアル作成手順
- テーマごとにマニュアルの目的と伝えることの明確化を行う
- 作成担当者(部署)を決定する
- 目次を作成し、マニュアル化すべき事項を明確化する (業務に関するマニュアルに関しては、テーマと時系列両面からまとめる)
- 項目ごとに表現方法を明確化する
- 決定したそれぞれの表現方法で作成する
- 完成したマニュアルを実際の業務とすり合わせる
- あるべき業務内容に対応して内容を修正する
- マニュアル間の調整を図った上で全体マニュアルとして体系化する
- 改定手順と責任部署を明確化する
- 関係者に研修を実施してマニュアル内容の浸透と標準業務の徹底を図る
- フランチャイズ本部マニュアルとして加盟店研修に活用する
マニュアルを作成する際の留意ポイント
次にマニュアルを作成する際の留意ポイントを紹介します。
- 顧客満足が第一になっていること
- 業務の単純化、標準化、専門化が徹底されていること
- 実際の業務に基づいていること
- 表現に曖昧なところがなく、わかりやすいこと
- コストと内容伝達に最も適切な表現方法を採用すること
- 使われることを前提とした体裁と構成になっていること
- 責任部門が明確で定期的に改定が行われること
作成者は常にこららの点を勘案して「実際に使われるマニュアル」作りを目指すことが重要です。