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フランチャイズチェーンに立ちはだかる「100店舗の壁」
全国展開を目指して多店舗化を図る企業が、フランチャイズチェーンとして目指す、第一のゴールが100店舗ということはよく耳にします。
キリが良い数字ということもあるかもしれません。
最近はとりあえず10店という、ある意味で現実的な設定を推奨する話も聞きます。
しかしながら、まずは100店舗!
大きめの目標がなければ、店舗数はもとよりFC本部の体制整備に着手できず、
いつまでも個人商店の域を脱していけないというのが現実です。
100店の達成が見えてくる段階で、FC本部の人員や組織の体制、機能整備が進めば、
次に200店、300店へ向けた事業計画を描きやすくなります。
これは、経営においては至極当たり前のことだと思います。
日本のフランチャイズチェーンの業界平均の店舗数は約150店です。
この数字からもフランチャイズ展開で、100店舗を目指すことは、あながち根拠がないわけでもありません。
とはいえ、「100店舗の壁」というのも存在します。
数十店舗までは伸びたが、そのあとがなかなか進まない、100店舗に届かないFC本部も多数あります。
そこで、この記事では、「100店舗を超えるための8つのポイント」をテーマに述べていきます。
100店を超えるための8つのポイント
初めに結論を言いますと、100店を超えるための8つのポイントは以下の通りです。
- 店舗拡大のための資金と人材を確保している
- 業態(フランチャイズパッケージ)の魅力度を高めている
- 業態にマッチしたフランチャイズ本部構築がなされている
- 加盟店をサポートする本部機能が整備されている
- 加盟候補者を増やし、オーナーが成功する仕組みが導入できている
- 加盟店が複数展開を推進しやすくなる仕組みが確立している
- 加盟候補者に惚れられる企業になる取り組みを進めている
- 本部が環境変化に適応し続けている
100店を超えるためには、このような8つのポイントに取り組むことが必要となります。
そこで、もう少し踏み込んで、100店を超えるために取り組むべき8つのテーマについて、そのヒントを考えてみたいと思います。
その前に、フランチャイズチェーン業界の最近の傾向を考察してみましょう。
フランチャイズ業界の変遷と最近の傾向
フランチャイズチェーン業界は、日本でフランチャイズ展開が始まって60年近くを経て、大手チェーンを中心に成長鈍化が著しく、様々な問題を抱えています。
最近の傾向としては以下のような点が特徴的に表れています。
- 大手チェーンを中心に加盟店の増加が止まっている。
- 既存店売上高が前年割れし、一店舗当たりの売上高が減少傾向にあるチェーンが多い。
- 加盟店の利益が減少傾向にあり、ロイヤルティの引き下げ要求が強まっている。
- 加盟店オーナーの高齢化が進み、脱退が増えている。
- 多店舗展開のメガフランチャイジーの脱退が増えている。
フランチャイズ展開を始めて数十年が経過し、成長鈍化、加盟店の利益低下、脱退の加速など業界全体としては、問題が山積しているということも言えます。一方で、これから100店越えを目指すチェーンにとっては、既存の大手チェーンが成長鈍化し、加盟希望者の選択が新興チェーンに向かう可能性が高まるというメリットもあります。
業界全体としては低成長傾向が強まってはいますが、新たな業態の創出や新サービスの提供などによって、急速に成長しているチェーンもあります。
100店は一気に超え、数年で1000店に迫るようなチェーンも出現しているのも事実です。そこで、まずなかなか100店を超えられないチェーンの要因を考察してみます。
「なぜ、100店を超えられないのか?」「なぜ、100店を超えられないのか?」の要因は、以下の通りです。
- 資金と人材が不足している
- 業態としての魅力が足りない
- フランチャイズパッケージの完成度が低い
- 多店舗をサポート、維持する仕組みができていない
- 加盟店が複数展開できていない
- 加盟店を集めるノウハウが不足している
- 加盟店オーナー(候補者)に魅力を感じてもらえていない
1.店舗拡大のための資金と人材を確保している
資金と人材の外部調達の仕組みづくりに関しては、直営展開だけではなく、フランチャイズ展開することで実現可能となります。
フランチャイズ・チェーンでは、出店にかかわる費用や人材は加盟店負担が基本です。したがって、直営展開と比較すると資金面や人材の確保において、直接的な負担が必要なく出店できるので、資金や人材の外部調達が実現できるというわけです。
2.業態(フランチャイズパッケージ)の魅力度を高めている
フランチャイズチェーン成功の要件として必要なものは以下の三つです。
フランチャイズユニットの収益力
一つめは、フランチャイズの単位となる加盟店(フランチャイズユニット)が、競争力を維持し、一定の収益をあげ続けられることです。
フランチャイズユニットの増加
二つめは、加盟店が継続的に増加していることです。
チェーンへの帰属意識の維持
三つめは、フランチャイジー(フランチャイズ加盟店)がチェーンへの帰属意識を保持し続けることです。
これらを実現するためには、フランチャイズパッケージが環境変化に適応してブラッシュアップされ続けていること、フランチャイズ本部機能がフランチャイズパッケージに合わせて進化していることが求められます。
具体的には、「顧客価値」「加盟店価値」「本部収益」の最大化を実現するための取り組むことです。
フランチャイズパッケージの7つの要件
さらに、フランチャイズ本部として成功するためには、フランチャイズパッケージが以下の7つの要件を備えていることが必要となります。
- 収益度
- 差別化度
- 拡大度
- ノウハウの非属人度
- 社会的有用度
- 理念の共有度
- 契約の明快度
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3.業態にマッチしたフランチャイズ本部構築がなされている
複数店を促進する仕組み
フランチャイズ加盟店を継続的に拡大するためには、加盟店が複数店を持てるような仕組みを導入することが有効です。複数店を促進する仕組みの例を以下に列挙します。
*インセンティブ策
・ロイヤルティを逓減する制度を導入する。
・加盟金等などの加盟時のフランチャイズ・フィーを優遇する。
*エリア規程の見直し
・エリアを見直し、より小さいエリアでの加盟を促進する。
*複数店マネジメント手法の習得支援
・2店舗以上の店舗運営する場合、人材、収益、チームマネジメントなど、複数店をマネジメントするための知識やスキルが必要になります。
・オーナーの会社、個人事業主によっても必要なことは違ってきますので、自社フランチャイズに合った指導、支援を行うことが大切です。
*加盟企業の中期計画策定支援による将来像の共有
・「メガ・フランチャイズジー」という言葉がありますが、フランチャイズ加盟によって事業を拡大、発展させ、地元地域の発展に貢献してきた企業も少なくありません。加盟企業の中期経営計画をサポートし、将来像を共有することで、加盟企業が目標を持った経営を行うことになります。
加盟者オーナーのモチベーションを高めるFC本部に
加盟オーナーに惚れられるFC本部の取り組み、チェーン運営を実現していくことで、加盟者の契約更新の推進と脱退防止効果を高めることができます。
本部と加盟店の一体感の醸成
・全国大会等を継続的に開催する。
・加盟店会(オーナー会)など、加盟オーナーの意見の反映する仕組みを導入する。
・加盟店の表彰制度を導入して、モチベーションを高める。
社会貢献が見えるチェーン運営
・ESG(環境、社会、ガバナンスに配慮した企業経営)、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み、推進を図る。
高いブランド認知の実現
・SNSの活用、マスコミへの露出拡大などの発信力を強化、推進する。
高い業界内シェアの獲得
・業界内トップの実現による知名度アップなどです。
4.加盟店をサポートする本部機能が整備されている
加盟店が継続して加盟し続けたいと考える重要な要素は、FCシステムを運用するための本部機能が充実しているということです。
加盟店をサポートするための本部機能には、採用・教育研修、開業支援、スーパーバイジング、マーケティング、サプライ、情報システム・会計の6つがあります。
これらの機能を加盟店の拡大に先行して整備することが加盟店に安心感を与え、継続して加盟していたいと思わせることにつながります。
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