
フランチャイズ本部に必要な10の機能の一つ「人材採用・教育研修機能」の中の「教育研修」でなくてはならない人材であるトレーナー(研修講師)ついて、より詳しくお伝えするページです。
[参照ページ]フランチャイズ本部には、必要な10の機能がある
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トレーナーの適性と育成
フランチャイズチェーンにおいて、加盟店向け研修を効果的かつ効率的に実施するためには、オペレーション・マニュアルの整備と並んで加盟店向け研修を実施するトレーナーが重要な役割を担います。
この場合、店長などの事業運営(現場責任者・SV・店長)の経験者であれば、誰でもがトレーナーになれるというわけではありません。トレーナーに相応しい要件を備えた上でトレーナーとしての訓練を積んで初めて一人前のトレーナーと言えるのです。
ここでは、、トレーナーに相応しい人材の要件とその育成における留意ポイントを説明します。
トレーナーの適性は?
フランチャイズ・チェーンにおけるトレーナーには、以下のような多岐にわたる要件が求められます。
1)当該業務に習熟していること
フランチャイズ本部における研修内容は、一般的な知識や情報の提供などではありません。自社の方針や理念の共有及び当該業態に即した実践的な研修が中心になります。したがって、研修を外部機関に委託してということは困難です。それゆえ、トレーナーは、当該業務に精通し、直営店でも実際に部下の育成に当たった経験を有する人物が適しています。
2)社会人としての常識と情熱を備えていること
トレーナーには単に知識やノウハウを教えるテクニックだけが求められているわけではありません。まず、社会人として常識と落ち着いた態度、身だしなみ、言葉遣いなどは当然備わっていなければなりません。そして、教育者としての情熱と誠実さを併せ持っていることもトレーナーに求められる重要な用件です。
3)トップに感情移入できていること
フランチャイズ・チェーンは「理念の共有」、つまり加盟者がどのくらい本部理念に共鳴しているかにその成功がかかっていると言われています。したがって、トレーナーは教育研修を通じて本部理念を加盟者に浸透させることが重要な役割となります。そして、そのためには、経営トップと同じトーンで本部理念を語れることが求められます。つまり、トレーナーがトップに感情移入できていることがトレーナーの要件の第一歩となるのです。
4)リーダーシップ力に優れていること
トレーナーにも経営幹部同様のリーダーシップ力が求められます。多くの研修参加者を動機付け、研修受講後さらに前向きに業務取り組んでいこうというきっかけ作りもトレーナーにとっての大きな役割です。単に、知識やノウハウを教えるというよりは受講者をいかにやる気にさせるかということがフランチャイズ・チェーンにおける教育・研修には大切なのです。
トレーナーの育成ステップ
フランチャイズ店舗の業務に対する知識・経験が豊富なだけでは人に教えることはできません。
人に教えるためには、「教える技術」が必要です。
トレーナーは絶えず自己の指導技術を磨くことが求められます。従って、当該業務を経験することから始まり、トレーナーとしての訓練、経験を積んで初めて一人前のトレーナーとして認められるようになるのです。
フランチャイズ・チェーンにおけるトレーナーの育成ステップは、以下の通りです。
1)直営店で実務経験を積む(店長経験者から選ぶ)
2)マニュアル作成作業に参画する(責任者として実際に作成する)(マニュアルが完備されている場合は、内容の理解と改定作業に従事させる)
3)マニュアルを活用して教える方法を身に付ける(研修方法を学ぶ)(必要に応じて外部の研修を活用する)
4)研修実施により、研修技術の高度化を図る(実際に新入社員や本部スタッフなどに教育することで教育方法を検証し、研修技術を身に付ける)
5)トレーナーのレベルに応じた評価、資格制度を導入し、自己啓発を継続する仕組みを構築する
フランチャイズの教育研修の運営体制
また、フランチャイズ・チェーンにおける加盟店向けの教育研修は、通常の企業のように人事部門が社員教育する場合とは異なります。
加盟店が本部ノウハウを修得し、本部のブランドイメージを維持し続けるためのものです。したがって、その機能は、フランチャイズ本部の運営部門(スーパーバイザー機能)と密接な関係を持って運営することが要求されます。
トレーナーにはスーパーバイザー業務を十分に理解した上で研修を実施することが求められます。