
先日、コンビニエンスストア中堅のミニストップにおいて、加盟店で消費期限を改ざんした弁当を販売していたという事例が報道されました。
食品を扱うチェーンにとって、消費期限や品質管理は信頼の根幹を支えるものであり、消費者の安心を揺るがす不祥事は、たとえ一店舗であってもチェーン全体のブランド価値を大きく傷つけてしまいます。
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現場の実態と本部の認識の「乖離」が不正を生む
フランチャイズビジネスが「同じ看板のもとに共に成長する仕組み」である以上、一店舗の問題は本部にとっても決して無関係ではありません。今回の件から学ぶべきは、「本部は加盟店の現場をどこまで正しく把握できているか」という問いです。どれほど厳格なマニュアルやルールを整えていても、それが現場で守られていなければ意味をなしません。現場の実態と本部の認識に乖離があれば、その隙間から不正や問題が生じてしまいます。
不祥事を防ぐために本部がすべき3つのこと
では、本部として何が求められるのでしょうか。
1. 現場の「空気」を感じ取る店舗巡回
第一に大切なのは「定期的かつ丁寧な店舗巡回」です。形式的なチェックではなく、日常のオペレーションに即した確認を行い、加盟店スタッフとのコミュニケーションを通じて現場の空気を感じ取ることが重要です。小さな兆候を見逃さず、問題が大きくなる前に気づく姿勢が、本部には求められます。
2. 加盟店が「相談できる」信頼関係づくり
第二に必要なのは「加盟店との信頼関係づくり」です。不正の多くは、加盟店が本部に対して「相談できない」「理解してもらえない」という不安を抱いたときに起こりがちです。売上のプレッシャーや人材不足など、現場には多くのストレス要因があります。その課題を共有し、解決策を一緒に考える体制があれば、加盟店は無理な判断に走ることなく、本部と共に正しい道を選びやすくなります。
3. 「仕組み」と「文化」の両面からの再点検
第三に、「仕組みと文化の両面での再点検」も欠かせません。仕組みとしてはチェックリストや監査体制の見直し、デジタル技術を活用したリアルタイムの情報把握などが考えられます。しかし同時に、加盟店全体に「お客様の信頼こそ最大の資産である」という文化を浸透させることも、本部の大切な使命です。短期的な利益よりも、ブランドへの信頼を優先する価値観を共有することで、問題の芽を事前に摘むことができます。
問題が「発生しない環境づくり」こそ本部の責任
不祥事は決して他人事ではなく、すべてのフランチャイズチェーンに起こり得るリスクです。本部の責任は、問題が発生してから対応することではなく、問題が発生しない環境をつくることにあります。今回の事例を他山の石とし、改めて「加盟店の動向を正しく把握すること」の重要性を胸に刻みたいものです。
健全で持続的なチェーンを育むために
ぜひ皆さまの本部でも自社の仕組みや文化を見直し、加盟店とともに健全で持続的なチェーンを育んでいただきたいと願っております。
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