
フランチャイズ・ビジネスを展開する中で、FC本部の組織づくりはその成否を左右する極めて重要な要素です。
実際、多くのフランチャイズ本部では、成長初期から中期にかけて特有の組織課題に直面します。
今回は、FC本部が陥りやすい課題と、それに対する具体的な解決アプローチをご紹介します。
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よくあるFC本部組織の課題
まず、FC本部が抱える典型的な課題として以下が挙げられます。
▶スーパーバイジング機能の未整備
加盟店が増えていくにつれて、直営時代の運営感覚では対応しきれなくなります。
スーパーバイザー(SV)が不在、またはSVの役割が曖昧なままでは、加盟店支援や指導が属人的になり、フランチャイズチェーン全体の品質を保てません。
▶開業支援機能の不足
加盟店開発は進んでいるのに、開業準備やスタッフ研修のプロセスが整っていないと、開業トラブルや初期の売上不振が頻発します。
▶情報システム・会計体制の後回し
売上・原価・発注管理といった数字がFC本部に集約されず、全体マネジメントが感覚頼みになるケースも散見されます。
▶本部業務の属人化
成長期にありがちなのが、各部門の業務が個人任せになり、ノウハウが形式知として蓄積されないことです。
解決に向けた5つのアプローチ
こうした課題を乗り越えるために、アクアネットでは以下のアプローチを推奨しています。
1. FC本部機能の体系的整備
まずは「10の本部機能」をベースに、開業支援・SV・サプライ・情報システムなどを整備します。特にスーパーバイザー業務は、明確な役割定義と業務マニュアルの整備が不可欠です。
2. フランチャイズパッケージの再構築
加盟店に提供するビジネスパッケージ(理念、運営手法、利益モデルなど)を体系的にまとめ、FC契約書や法定開示書面などの法的文書も整備します。
3. 加盟店開発と体制整備の並行推進
加盟店開発とFC本部体制の整備は一体で進めるべきです。広告・説明会によるリード獲得とともに、開業支援・マーケティング機能の整備も同時に進行させることが求められます。加盟店開発の進捗によって、店舗数増を見込む段階ではSVの育成も重要な課題になっていきます。
4. 本部人材の育成
SVや本部担当者の業務能力を高めるため、育成研修の導入や業務マニュアルの整備によって「属人化からの脱却」を図ります。
5. 成長段階に応じた体制拡充
直営1店舗の段階と100店舗規模のFC本部とでは、求められる体制が全く異なります。ステージごとに必要な本部機能の拡充や中期計画の策定が重要です。
まとめ
フランチャイズ本部構築は単なる「加盟店募集」にとどまらず、組織そのものを戦略的に整備する取り組みは、企業の成長、発展には不可欠です。
とくに、急成長を遂げるFC本部こそ、基盤づくりを怠ると後々の組織崩壊につながりかねません。しっかりと本部機能を整え、「人」に依存しすぎない組織を構築していくことが、フランチャイズ成功のカギとなります。
また本部の収支に合った人員体制という点も十分考慮しなければなりません。その意味で、企業としての発展段階に応じた中期経営計画を策定することを検討いただくと良いと思います。
FC本部の中期経営計画策定など、ご相談などがございましたら、アクアネットまでお気軽にお寄せください。