コロナ禍からの回復はインバウンド効果で旅行やホテル・旅館などの観光業界では、特に顕著になってきていますが、飲食業界でも本格的な回復基調が見受けられます。
日経MJの調査によると、2月の飲食店チェーンの既存店売上高は、調査対象33社中32社が前年実績を上回り、そのうち16社が二桁の増収を確保したということです。
ファミリーレストランは4社中3社が二桁増収となり、その中でもサイゼリアは24%増と大幅に伸長しています。
ファストフードチェーンでは、牛丼3社が二桁増収を達成し、モスフードサービスも13.4%と堅調に伸びています。
居酒屋は5社中4社が二桁以上の伸びを確保し、インバウンド需要の取り込みなども功を奏して好調な推移となっています。
焼肉では焼肉キングが19.4%と相変わらず順調ですが、不振が続いていた安楽亭も前年を超える実績を確保しています。
ハイディ日高やトリドールなど麵業態でも4社中3社が二桁の伸びを確保しています。
ドトールコーヒーも10.4%とコロナ禍での苦戦から完全に回復しているといえます。
このように、全体としては好調さが目立つ結果となっており、完全にコロナ禍から回復して次の成長に向かって各チェーンがそれぞれ新たな戦略を打ち出している様子がうかがえます。
客数が減少しているチェーンは2社、客単価が減少しているのが1社という結果からも、コロナ禍によって減少した客数の回復基調が顕著にうかがえ、昨年からの値上げが浸透しているチェーンも多いということが推察できます。
ただ、この調査結果はあくまでも主要33社の数字であり、中小チェーンの動向ははっきりしてはいません。
コロナ禍で減少したお客さまを取り戻せない企業も実際には多くあるようです。
コロナ禍で減少したお客様を取り戻そうとして必要以上の安売りで短期的なお客様の確保に走って品質低下を招きリピーターを減らしてしまった定食チェーンや価格改定に失敗して大幅に客数を減らしてしまった居酒屋チェーンなどもあります。
コロナ禍からの回復基調は間違いなく続いていきそうですが、お客様の支持を得られない品質低下や価格の上昇などは、一気にお客様の支持を失うことにもなってしまうので、商品や価格の改定や新商品の導入には、慎重にテストを繰り返しながら実施していくことが必要です。
観光業界や飲食業界のように、コロナ禍が明けて、流通・サービス業界では明るい兆しが見えていますが、この流れに乗って次の成長を目指せるかどうかは、お客様の支持を得られるかどうかにかかっています。せっかくの回復基調に乗り遅れないような商品、価格政策を間違えないように対応ください。