フランチャイズ業界では、大手2社が上場廃止となりました。
まずは、コンビニ大手の株式会社ローソンです。7月24日にKDDI株式会社によるTOBが成立し、KDDIと三菱商事が50%ずつローソン株を保有する持ち分適用会社になります。今後は、KDDIの通信、デジタル技術のサポートを受けて宅配サービス事業の強化などを図るということです。非上場により、短期的な市場の評価を気にすることなく、意思決定の迅速化が図れて事業に専念できるというメリットを強調していますが、非上場化によって同社がコンビニ業界でどんなポジショニングを築くのかが注目されます。
2社目は、日本ケンタッキー・フライド・チキン(日本KFCホールディングス株式会社)です。同社は、三菱商事の傘下にありましたが、米投資ファンドであるカーライル・グループによる、TOBが成立し、9月中には上場廃止となる見通しです。今後は、カーライル傘下で店舗網の拡大やデジタル化、メニューの拡充などに取り組み、さらなる成長を目指すとしています。マクドナルド、モスバーガーと並ぶ大手ファストフードが非上場化によってどんな動きを見せてくれるのか見守りたいものです。
フランチャイズ業界における非上場化はこの2社ですが、それ以外でも上場廃止する企業が増加しています。有名なブランドとしては、永谷園HDやシダックス、大正製薬ホールディングスもMBOによる非上場化を果たしました。
これらの企業は、必ずしも業績が悪化しているというわけではなく、非上場化によって目先の市場の評価を気にすることなく事業に取り組めるというメリットを生かして、中長期な成長を目指すという目的で非上場化しています。一方、上場廃止によってのデメリットもあります。最大のものは、ブランドイメージが低下する恐れがあるということです。しかし、すでに一定の知名度を獲得している企業にとっては、あまり大きなダメージにはならないと想定されます。経営の自由度を確保して将来に向けた成長を実現するために非上場を選択するという道は大きな可能性を秘めているのかもしれません。
これまで、IPOを目指すという選択肢が企業の大きな成長目標でしたが、最近では、IPOだけが企業の成長ゴールではないという考え方も拡大しています。IPOだけにとらわれずに、それぞれの経営者が自社の目指すべきゴールを設定することが大切な時代になっているのではないでしょうか。