最近の日本経済新聞(2022年3月28日付)に、
「『まるで詐欺』悪質FCに及ばぬ法 加盟店の保護に限界」
という見出しの記名記事が掲載されていました。
加盟者の一部にはそうしたことがあり、過去にもいろいろな意見、あるいは訴訟があったことも事実です。
おそらくは、独立起業、副業、新規事業への関心などが高まる中での問題提起かと感じました。
同時に、フランチャイズ・ショーを主催する日経新聞が、こうした記事を掲載したことに目を向けておくことも大切だと思いました。
FC本部は、単にフランチャイズパッケージというビジネス商品が売れれば良いという考えや、本部の一時的な利益のみを目的とするようなことにならないよう、
私どもが本部の立ち上げを支援する際、最も強く申し上げることがあります。
一言でいうと「加盟店に対しては誠実に接すること」です。
昨今、ネット検索すれば、フランチャイズ契約書のひな形をダウンロードできるなど、
外面だけを取り繕って、加盟店募集をしている本部を見受けることもあります。
また、FC本部が法定開示書面(情報開示書面)を加盟希望者に提示しないばかりか、用意さえしていないということも多いようです。
独禁法や中小小売商業振興法などによるフランチャイズ・ガイドラインは、健全なフランチャイズビジネスの発展のために長年積み重ねられていて、様々な業種業態に共通するフランチャイズビジネスに適用されてきました。
サービス業だから中小小売商業振興法の対象でない、という本部もあるようです。
しかしながら、独禁法のガイドラインを読めば、法定開示書面を提示することは、フランチャイズ本部としては当たり前と言わなければなりません。
フランチャイズ本部を自称する以上、最低限度の遵守事項です。
私どもに寄せられるFC本部立ち上げの相談の中で、
「フランチャイズは、加盟店からのクレームで大変なのか?」
「フランチャイズは、訴訟されないのか?」
といった質問をいただくことがあります。
FC本部が加盟者との意思疎通が不十分だったり、
誤解を招くようなことは避けなければなりません。
いい加減な準備のまま、加盟店募集をしたり、
中身と異なるような過度な、あるいは気を引くキャッチコピーで、
加盟希望者を煽ること、誘引することは、ガイドラインでも厳しく言及しています。
また過去には、契約を取りたいがための、その場対応が、後々になって大きなトラブルに発展した事例があったことを、フランチャイズ本部の社員は知っておくことも大切です。
加盟希望者に対しては、フランチャイズの判断基準(経産省からも発信されていますが)を理解した上で、本部を選んでもらえるような啓蒙活動が一層大切なのだと痛感します。
また、フランチャイズ本部にあっては、適切な情報開示、適時の情報発信が、加盟希望者の増加にも繋がることを再認識する機会にしてもらえたらと考えた次第です。