過日行われた日本フランチャイズチェーン協会主催の講演会で、公益財団法人日本サッカー協会(JFA)会長の田嶋幸三氏の講演にて、同氏は「勝つには理由がある。偶然に強くなったりしない、基本を徹底し続けることが勝利の要諦であり、サッカー日本代表の歴史でも証明されている。」と語っていました。
サッカーの基本というとパスとドリブル、野球であればキャッチボールと言われます。「基本に始まって基本に戻る(終わる)」は、どれだけスキルが上達しても欠かすことが出来ないというのは、スポーツに限らず、様々なことで言われるのではないでしょうか。
「基本」は、FCチェーンの店舗オペレーションでも大事なことですが、「基本」とはどのようなことを言うのでしょうか?
例えば、朝礼で唱和する社訓や理念、接客用語が基本かもしれません。ファミリーレストランの来店客への挨拶や接客用語なども、その会社が定めるオペレーションの基本です。
こうしたサービス提供のベースとなるチェーン理念、共通用語、作業手順を明文化し、集大成したものが、オペレーション・マニュアルです。しかしながら、店長がオペレーション・マニュアルをおざなりにして、スタッフに基本を徹底せずにいると、その店舗の業績が上がらなくなるだけでなく、FCチェーン全体にも悪影響を与えてしまうかもしれません。
FC本部の教育研修やスーパーバイザーなどの本部機能は、すべての店舗に基本を徹底し、品質を維持向上させるために非常に重要にです。
長年FCチェーンを運営している本部でも、基本マニュアルや、それを周知するための教育研修プログラムやトレーニングシステムが確立していない、トレーナーが不足しているなど、自社の「基本」を現場までなかなか浸透しきれない本部も少なくないようです。
ある大手ファミリーレストランチェーンで、外国人スタッフへの教育のためにマニュアルを刷新し、業績も上向いた、という担当役員のインタビュー記事を最近目にしました。自社の基本事項を見直して、基本を周知徹底するマニュアルなどのツールも再編することを通じて、チェーンシステムを強化できることが、こうした事例からも見て取れるのではないでしょうか。
ところで、田嶋日本サッカー協会会長は「常に学び続ける指導者(監督・コーチ・トレーナー他)であることが、重要になっています」と話していましたが、このこともFCチェーンのスーパーバイザー(SV)に通じると思います。
SVは、本部と加盟店とを繋ぐ重要な役割を担っています。また最前線で本部を代表する立場で加盟店と直接対峙し、指導する立場でもあります。そのSVが常に学び続け、成長していくことが、加盟店はもとよりチェーン全体の成長に繋がるとも言えます。
一方で、SVが学び続ける環境のことも本部は考える必要があるかもしれません。例えば、KPIに関わる数値データの可視化、SVマニュアルや業務ツールなど、加盟店に基本を徹底し、継続的な指導・支援が出来る仕組みがあるかなど、自社のSV機能を点検してみるのも良いかもしれません。
折しもワールドカップが開催されています。普段はサッカーの試合を観戦しない人も応援してしまう、サッカーの魅力を感じさせることの舞台裏を垣間見て、基本に帰ろうと考えた次第です。