
近年、異常気象が企業活動に与える影響はますます大きくなっています。豪雨や台風、大雪や猛暑といった現象は、もはや「想定外」と片づけられるものではなく、日常的に起こりうるリスクとして捉える必要があります。
特に全国に多数の店舗を展開するフランチャイズチェーンにとって、異常気象は事業継続そのものを揺るがす大きな課題です。本部と加盟店、それぞれの立場からBCP(事業継続計画)をいかに整備するかが、ブランドの信頼性と持続的成長を左右すると言えるでしょう。
本部に求められる広域的な視点と備え
まず本部に求められるのは、サプライチェーンの強靭化です。
原材料や商品の調達先を複数確保し、災害時に一地域に依存しない体制を築くこと。物流ルートも多重化し、被災エリアには優先的に供給を行える仕組みが欠かせません。
同時に、全国の加盟店が共通で利用できる「緊急対応マニュアル」を整備し、停電や交通途絶時の営業判断や最低限の運営手順を明確にすることも重要です。
さらにクラウド型POSや専用アプリを活用し、各店舗の営業状況をリアルタイムに把握することで、本部が迅速な判断を下せる環境を整えておく必要があります。
加盟店に求められる現場での柔軟な対応
一方、加盟店においては、何より従業員と顧客の安全確保が最優先です。
無理な出勤を避け、避難経路や備蓄品を整えるといった基本的な備えはもちろん、短縮営業やメニュー削減といった柔軟な運営方針をあらかじめ決めておくことが求められます。
地域密着型の店舗は、時に住民の避難や支援拠点として機能することもあり、こうした役割を果たすことがブランド価値の向上にもつながります。
ブランド価値を守る本部と加盟店の連携
フランチャイズチェーンにおけるBCPの特徴は、本部と加盟店の相互連携にあります。
災害時には即時に連絡を取り合い、営業可否や在庫状況を共有する仕組みが不可欠です。本部が広域的な視点から資源を最適に配分し、加盟店は地域に根差した対応を行うことで、全体としてのブランドの信頼性を守ることができます。
逆に一部の店舗で対応が不十分だと、チェーン全体の評判に傷がつく可能性もあるため、本部は定期的な訓練や教育を通じて加盟店の防災力を平準化する努力を続けるべきでしょう。
異常気象は今後ますます頻発し、その影響は拡大すると予想されます。だからこそ、平時から「人・物・金・情報」を止めないための仕組みづくりが不可欠です。
本部が戦略的な備えを担い、加盟店が現場で柔軟に動ける体制を整えること。その両輪が揃ってこそ、フランチャイズチェーンは不測の事態にも揺るがない強さを発揮できるのです。
BCPの作成などにお困りの方は、一度ご相談ください。