2020年も残り少なくなって参りました。コロナ第三波の到来ということで、街も年末本来の賑わいとはいかないようです。
さて、2020年は、オリンピックイヤーでインバウンド需要も最高を記録し、国内消費も好調に推移、特に宿泊業や交通関連の需要は好調、飲食業もまずまず堅調に推移するであろうというのが、昨年今頃の予想でした。
ところが、コロナ禍の影響でオリンピックは一年延期、海外からの観光客はほぼゼロ、デパートなど都市型の小売業は大不振、宿泊業や交通関連の企業は、ビジネス客の移動制限や観光客減の影響をまともにかぶり、GoToトラベルの効果も限定的で、企業存続を考えなければならないという状況のところまで追い込まれているところも増えています。飲食業では、居酒屋やファミリーレストランなどが大量閉店に追い込まれています。
フランチャイズ業界では、好調だったフィットネス業界が苦戦を強いられ、介護業界も感染リスクの高まりとともに利用者の減少が続いています。つまり、一年前の予想に反し、好調に推移すると思われた業界ほど苦戦を強いられているという状況です。
一方、巣ごもり需要に対応して、大手量販チェーンや郊外型の飲食店、ファストフード店などは、比較的好調に推移しています。さらに将来需要が高まるとみられていた飲食の宅配に関しては、コロナ禍をきっかけに一気に需要が拡大し、ウーバーイーツや出前館はじめ多くの専業者が出現しています。加えて、ゴーストキッチンと呼ばれるような宅配専門の飲食店も新たな業態として出現しています。テイクアウト専門やおひとり様向けの飲食店もいろいろな分野で新店舗がオープンし、コロナ禍だからこその業態として一気に増加しています。
全体としてみれば、コロナ禍において従来型の業態が苦戦するなか、新生活様式に適応した業態が数多く生まれ、その中から将来にわたって生き残るところがいくつか出てくるという流通・サービス分野においては、新しい時代へのちょうど過渡期にあるというのが現在の状況ではないでしょうか。
コロナ禍が収まるのが、来年前半になるのか後半なのかそれとも再来年になるのかは全く予測がつきませんが、2020年が新生活様式に合った業態が新たなジャンルを構築し、今後長年にわたって繁栄していくという流れを作るきっかけの年になるというのは間違いがないような気がします。
新生活様式への適応を考えることで、今後数十年に渡って成長し続けられる新たな業態を創造できるかどうかの勝負がかかった時期だという思いでコロナ禍への対応を考えてみることが求められています。
2021年に向けて、自社の業態が業界内で今後の新ジャンルを切り開く存在になれるかどうかをベースに大きな転換を図ってはいかがでしょうか。明るい未来を信じて前向きに取り組んでみましょう。
一年間、いろいろとお世話になりました。来年もよろしくお願い申し上げます。