
先月(2025年10月)、(一社)日本フランチャイズチェーン協会から発表された「2024年度 JFAフランチャイズチェーン統計調査報告」に基づいて、日本のフランチャイズ業界の動向を簡単にまとめてみました。
2024年度の日本のフランチャイズ市場は、物価上昇や人件費の高騰など厳しい経済環境下でも、チェーン数・店舗数・売上高のいずれも前年を上回る成長を示した。全体では、チェーン数1,291(前年比+0.5%)、店舗数約25.4万店(同+0.7%)、売上高29兆2,826億円(同+3.6%)となり、4年連続のプラス成長を記録した。名目賃金は上昇したものの実質賃金は3年連続のマイナスであり、消費者の節約志向が強まるなか、コストパフォーマンス重視の消費行動が目立った。
業種別の動向
小売業は堅調で、店舗数・売上ともに増加した。特にスーパーや100円ショップなど「各種総合小売」で売上が前年比+6.4%と伸びたほか、中古品やリユース市場も訪日外国人需要を背景に活況を呈した(売上+11.0%)。一方、「高級食パン」など一部のブーム業態では鈍化が見られた。コンビニエンスストアは、低価格・大容量商品の強化やカウンターフード拡充で集客を維持し、売上+1.8%と安定成長を続けている。
外食業では、ポストコロナ期の回復とインバウンド効果が顕著で、売上+6.9%と全業種で最も伸び率が高かった。牛丼・丼物(+11.9%)や焼肉(+6.8%)、カフェ(+4.1%)が好調だった一方、居酒屋業態は微減にとどまった。SNS活用や高付加価値商品の導入など、ブランド戦略の巧拙が業績に直結している。
サービス業は業種間で明暗が分かれた。美容・エステ分野では価格競争が激化し、店舗数が20%以上減少。一方で、ホテル業はインバウンド需要による宿泊単価上昇で売上+24.8%と大幅増。フィットネスクラブ(+6.7%)や介護サービス(+3.9%)など、健康・高齢化対応分野は堅調だった。
構造変化と課題
業界全体では、人手不足とコスト上昇が深刻化しており、DX推進やAI導入による業務効率化が喫緊の課題となっている。また、消費者の節約志向が続くなか、価格転嫁のバランスをどう取るかが各チェーンの成長を左右する。
JFA加盟チェーンの売上シェアは全体の58.3%に達し、業界の中心的役割を果たしている。今後は、人口減少・高齢化による市場縮小リスクに対し、地域密着型・多様化対応・デジタル化を軸にした新たなフランチャイズモデルの構築が求められている。








