
前回までは、加盟店の状況を的確に把握し、説得力のある指導を行うための「数値スキル」の重要性、AIとの協働についてお伝えいたしました。
数値を読み解く力は、スーパーバイザー(SV)にとって強力な武器となります。
しかし、扱うべきデータが爆発的に増え、市場の変化も激しい現代、その武器だけでは太刀打ちできない場面も増えてきたのではないでしょうか。
このような状況の中、改めて注目されるのが、これまで多くのSVが拠り所としてきた「経験と勘」です。
加盟店の成長を支えてきたこの人間ならではの強みにも、実は限界が見え始めているのかもしれません。
「経験と勘」に頼る指導が直面する、3つの課題
本部と加盟店の架け橋としてチェーンの要を担うSVの皆様は、日々、その豊富な経験と知識を活かして加盟店の成長を支えています。
しかし、ビジネス環境が複雑化する現代では、この「経験と勘」に頼るアプローチだけでは、いくつかの課題に直面しているのではないでしょうか。
課題1:指導品質のばらつき
その一つが、指導の質がどうしても個々のSVが持つ経験値や分析能力に左右されやすい、という側面です。
ベテランSVの鋭い「勘」は非常に価値がある一方で、SVによって加盟店が受けるサポートの質にばらつきが生まれてしまうことも少なくありません。
課題2:時間的な制約
また、多くの店舗を担当するSVにとって、時間的な制約も大きな課題です。
店舗ごとのデータとじっくり向き合い、課題の根本原因を探る時間を確保するのは容易ではありません。結果として、どうしても対症療法的なアドバイスに留まってしまう、といったケースも考えられるでしょう。
課題3:「後手」になりがちな対応
こうした状況は、売上低下といった問題が数値として明確に現れてから対応する「後手」の指導につながりがちです。
問題の「予兆」を事前に察知し、先回りして手を打つという、理想的なサポートの実現を難しくしているのが現状といえるでしょう。
もちろん、長年培われた経験や勘が重要であることに変わりはありません。
しかし、それだけに頼るアプローチは、今日のフランチャイズ運営において限界を迎えつつあるのかもしれません。