法人加盟は“ステップ”では動かない
法人相手の加盟開発は、営業教科書のようには進みません。
理由は明確です。
・投資額が大きく、判断に時間がかかる
・店舗物件の有無・状態によって話の方向性が変わる
・社内文化・意思決定スピードが各社で異なる
・条件提示が一つ変わるだけで、結論が分岐する
だからこそ、「商談ステップ」という考え方では現場を説明しきれません。
現実には、
『キーマンと会えるかどうか』でほぼ勝負がついている
これが加盟店開発の実務における“体感的な真実”ではないでしょうか。
最初の“1回目の真剣な面談”にすべてを寄せる
法人加盟開発のリアルは、往々にして次のような流れを取ります。
1)まずキーマンに会えるかどうか
2)最初の30〜60分で“可能性アリかナシか”を判断される
3)ここで刺さらなければ、以降の資料は読まれない
こうした流れは珍しくありません。
つまり――
勝負どころは、最初の本気の面談。
そして、その瞬間に手渡す「提案書」こそが商談の成否を左右します。
キーマンが見るのは「資料の見やすさ」ではない
では、その提案書とは何でしょうか?
多くの加盟店開発者が知らずしらずのうちに陥りがちな誤解があります。
・パンフレットを渡す
・一般向け加盟案内書で説明しようとする
・営業トークで補完すれば伝わると考える
しかしキーマンは、一般資料など見ません。
彼らが見たいのは、
「もし自社がやるなら、どう成立するのか?」
という“自社視点”で描かれた、経営者目線の事業企画書です。
資料の見やすさではなく、
「自社に置き換えたときの絵が描けるかどうか」が判断基準なのです。
法人キーマンが最初に知りたい“3つの問い”
最初の面談で、キーマンが無意識に処理している問いは、実は非常にシンプルです。
1) うちとの相性はあるのか?(シナジー)
・既存事業の人材で回せるか?
・既存の店舗網・物件・営業基盤が活かせるか?
・既存事業とのバッティングはないか?
ここが刺さらなければ、収支が良くても落とされます。
2) どこまで本部がサポートしてくれるのか?(安心)
法人は「全部自社でできるか」より、
• 立ち上がりの伴走
• 標準オペレーション
• 採用・教育の再現性
• 収支のブレ幅
といった“安心の度合い”を重視します。
3) 投資と回収の筋道が見えるか?(根拠)
特にキーマンは、
・投資額と回収の目安
・初年度のキャッシュフロー
・最大損失とその回避策
・複数展開の現実性
これらを自社の状況と照らし合わせて瞬時に判断します。
これら3つに、最短で・明確に・矛盾なく答えること。
そのための武器が、最初に手渡す「提案書」なのです。
最初に渡すべきは「企画書形式」の提案書
つまり最初に渡すべき資料とは、一般向け加盟案内ではなく、
• 図表
• 根拠
• 前提条件
• 自社に置き換えやすい構造
が整った“企画書形式”の提案書です。
法人が社内に戻ってから、
「あのフランチャイズの話、これです」
とそのまま説明できること。
これが、提案書に求められる最重要ポイントです。
最初の面談で刺されば、社内プロセスが一気に動き出す
法人商談のリアルはこうです。
• 最初に刺されば、話は速い
• 最初で刺さらなければ、何も動かない
だからこそ、
第1面談に向けて“何を見せるか”を徹底的に準備すること。
ここに法人加盟開発の本質があります。
まとめ
法人加盟はステップ論ではありません。
勝負は、
「誰に、最初に、何を見せるか」。
キーマン面談に向けた、経営者目線の提案書。
これが整備されてはじめて、加盟へのプロセスが動き始めます。
そして――
その1つが整うだけで、法人商談は驚くほど前に進みます。