日本のフランチャイズの歴史の歩みとともに、フランチャイズ・コンサルティングを振り返る

株式会社アクアネットは、1995年(平成7年)の創業です。

振り返れば約29年が経過し、フランチャイズチェーンの業界でも老舗のフラチャイズ・コンサルタント会社ともいわれることがあります。
日本のフランチャイズの50年の歴史の半分以上を、フランチャイズ本部をご支援するコンサルティング会社として歩んできたことになります。

この間、日本のフランチャイズチェーンはチェーン数、業績面、またフランチャイズ展開する業種業態も拡大し、発展してまいりました。

そこで、日本のフランチャイズチェーンの歴史を振り返りながら、私(民谷昌弘)がコンサルタントとして独立した当時の時代背景や思い抱いていたことなどをご紹介します。

日本のフランチャイズチェーン黎明期を振り返る

日本のフランチャイズビジネスが始まったのは、1963年(昭和38年)にダスキン「ダストコントロール」(7月)、不二家(10月)がFC1号店を出店してからといわれています。

1969年1月に、第二次資本自由化(※1)が行われ、外資によるレストラン事業が可能となったことを契機に、翌1970年より、アメリカのファストフード企業が日本進出を開始しました。

それを追いかけるように、国内のファストフード系チェーンやコンビニエンスストアなどが参入し、フランチャイズ業界も活況を呈します。

初期の頃の主な参入状況です。

代表的なチェーン店の初出店
1970年 ウインビー(6月)、ケンタッキーフライドチキン(7月)
1971年 ミスタードーナツ(4月)、マクドナルド(7月)
1972年 モスバーガー(3月)、ドトールコーヒー「カフェコロラド」(4月)

※日本フランチャイズチェーン協会設立総会(2月)

1973年 吉野家FC1号店(4月)
1974年 サーティワンアイスクリームFC1号店(4月)、セブン-イレブンFC1号店(5月)
1975年 ローソン(6月)、オートバックスFC1号店(4月)

【出所】「フランチャイズハンドブック改定版」(日本フランチャイズチェーン協会発行)

※1 国際資本取引に対する制限を緩和,撤廃すること。業種別に段階的に外資比率100%を認可した。

不二家は、日本で最初のフランチャイズ本部なんだ!

私(民谷昌弘)が、社会人としてのスタート切ったのは株式会社不二家でした。

ご存じの方も多いと思いますが、「ペコちゃん」で有名な会社です。
恥ずかしながら、私は入社時には、不二家は菓子メーカーという認識しかありませんでした。
入社後に、菓子メーカーだけでなく洋菓子ショップやレストランのフランチャイズチェーン展開も行っていることを知りました。
実は、不二家の洋菓子チェーンとダスキンが日本で初めてフランチャイズを始めたということを、不二家を退職してから知ることになります。

不二家へ入社して約半年の実習を経た後、最初の配属はチェーン本部でした。
まずは、洋菓子店勤務となりました。
京都の四条店で繁忙期には日商100万円を超える超繁盛店でした。客単価が500円くらいの時代ですので、あまりの忙しさに、「もうお客さんは来ないで欲しい」と本気で思っていた記憶があります。
1978年のことなので、40年以上年も前になります。
不二家のFC加盟1号店が出店してから約15年。日本のフランチャイズチェーンが急速に成長していた頃です。
ちなみに不二家のFC1号店は、京都の伏見店です。
私が働いていた四条店から京阪電車で20分もかからないくらいのところにあるお店です。
直営の四条店は残念ながら閉店しましたが、FC加盟店の伏見店は60年近く経った現在も営業中です。

1978年は、ほっかほっか亭総本部、ヤマザキデイリーストア、ファミリーマート、つぼ八が、それぞれFC1号店を出店した年です。
セブン-イレブンの店舗数は、まだ500店舗ほどでした。

フランチャイズ本部スタッフから経営コンサルタントへ

私は、不二家では店舗勤務の後、フランチャイズ本部のスタッフとして主に商品企画やマーケティングを担当しました。
ペコちゃんのキャラクター商品の専門店やチョコレートショップ、アイスクリームショップなど新規事業開発にも携わり、ビジネスを新しく創り出すという貴重な経験もさせて頂きました。
不二家は、メーカー、小売店、レストランなど幅広い事業展開をしています。
したがって、業務を通じて、生産の現場(工場)や卸売業(問屋)、エンドユーザー(消費者)と日常的に接点があります。

当時はあまり意識していませんでしたが、川上から川下まで一通り経験(体験)できる非常にありがたい職場でした。
参考までに、私がフランチャイズ本部のスタッフとして働いていた、1980年代中頃の主なフランチャイズチェーンの店舗数を紹介すると、

1985年:日本マクドナルド(500店)、日本KFC(500店)
1986年:ミスタードーナツ(500店)、モスバーガー(500店)
1987年:ファミリーマート(1,000店)、セブン-イレブン(3,000店)

現在の店舗数と比較すると、まさに成長期ど真ん中といった店舗数です。

不二家も洋菓子チェーンだけで当時500~600店くらいあり、毎年100店舗近く増加するという成長期にありました。
そして、私が退職する1990年当時で約1,000店舗にまで拡大していました(残念ながらその時期が不二家洋菓子チェーンのピークとなってしまいました)。

私は、不二家に10数年間勤務した後、大手の経営コンサルティング会社に転職しました。
経営コンサルタントとしては初めて経験することばかりでしたが、幸い、クライアントにも評価され、入社2年目には社内でもトップの実績を残すことができました。
コンサルティング会社での実績も不二家での幅広い職務経験に大きく助けられたと感謝しています。

経営コンサルタントとして独立

約5年間のコンサルティング会社勤務を経て、独立する決意をしました。1995年のことです。
独立当初は、中堅・中小企業向けの戦略系コンサルティングがメインでした。
企業の経営計画の作成支援や業務改善などを中心にコンサルティングを行っていました。

そんな中、フランチャイズをテーマに講演をしてくれないかというオファーをいただきました。
コンサルティング会社でも、不二家での経験もあって、数社のフランチャイズ本部の運営支援を行っていましたので、その実績を知る方からのオファーでした。

当時は「フランチャイズ本部を立ち上げる」というテーマでの講演はほとんど存在しておらず、京王プラザホテルの会場は100名を超える経営者の方が集まりました。
その講演に参加いただいた企業が、独立後フランチャイズ本部構築支援の最初のクライアントとなります。

民谷昌弘 たみや まさひろ
民谷昌弘

この時の講演あたりから、徐々にフランチャイズ本部構築、フランチャイズ本部運営改善などのオファーが増え、アクアネットは結果としてフランチャイズ専門の経営コンサルタント会社となっていったのです。

当初は、「フランチャイズ本部に居たから大丈夫だろう」「これまでも数社のフラチャイズ本部構築支援の経験はある」と思っていました。
しかし、ゼロからフランチャイズ本部を立ち上げる支援事業は、想像以上に大変で苦労したのを覚えています。

当時、私はすでに約10年間のフランチャイズ本部での経験がありました。しかし、ゼロからFC本部を立ち上げた経験はありません。
当然ながら、場面場面では過去の経験をもとに、かなり具体的なアドバイスができます。
しかし、フランチャイズ本部をどのように立ち上げ、どう発展させて行けば良いか、体系だって説明ができないのです。

そこで、改めてフランチャイズビジネスについて学び直しました。
ただ、その頃は日本ではほとんど参考になる書籍がなく、日本フランチャイズチェーン協会に数冊参考になる書籍があるという状況でした。
それらをすべて買い込み、読破した後は、アメリカのフランチャイズショーへ行った際に参考になりそうな書籍を数冊買ってきて、辞書と首っ引きで読み込みました。
もともとアメリカでスタートした経営システムですから、かなり参考になったことを覚えています。

そして、フランチャイズ本部構築支援の現場で経験を重ねることで、独自のノウハウとしてリスクの少ないフランチャイズ本部構築に関して体系化することができました。

1995年当時のフランチャイズ業界

私が独立した当時のフランチャイズ業界を少し数字なども交えて振り返ってみます。
日本フランチャイズチェーン協会が毎年発表している統計調査によると、1995年の日本のフランチャイズビジネスの市場規模は以下の通りです。

売上高 約13兆円
チェーン数 755
店舗数 158,223店

手元にある最も古い1983年の統計調査と比較すると、12年で大きく成長していることがわかります。

売上高  379.2% (約3.8倍)
チェーン数 147.5% (約1.5倍)
店舗数  234.3% (約2.3倍)

ちなみに1983年を100とした場合の、上記3項目(売上高、チェーン数、店舗数)の成長率は以下のグラフの通りです。
日本のGDPの成長率と比較するとフランチャイズ業界の成長スピードの速さが分かりやすいと思います。

【実質GDPとFC売上規模の成長率推移】

実質GDPとFC売上規模の成長率推移

 

フランチャイズ本部構築支援がメインとなった経緯

私が独立した当時は、日本でフランチャイズ展開がはじまって約30年を経た頃でした。
フランチャイズ本部の立ち上げを経験した人やFC本部で働いた経験のある人が、それほど多くない時代です。
したがって、新しくスタートする本部にフランチャイズのことが分かっている社員がいないというケースがほとんどでした。
仮にFC本部勤務の経験がある社員がいたとしても、独立当初の私のように、部分的なことしかわからず、フランチャイズ本部全体のことを考えて、フランチャイズ本部構築の業務が進められないことが多い状況でした。

本来、フランチャイズの仕組みは、FC本部ごとにかなり異なります。
企業の目的や理念、業態、風土などが異なるわけですので、それも当たり前のことです。

しかし、フランチャイズビジネスのことを客観的な視点で正しく理解していない多くの経営コンサルタントや社内の担当者は、ご自分の知っているフランチャイズの仕組みをそのまま全て当てはめるような方法で、新規のフランチャイズシステムを構築してしまいがちです。

極端な例えをすると、コンビニOBの人が美容室のフランチャイズの仕組みを考えた場合、美容室にコンビニと同じ仕組みを導入しようとする、という感じです。
業種業態の違いだけではなく、フランチャイズビジネスの目的や実現したいことも異なるFC本部の仕組みを移植するようなもので、これではまず上手くいきません。
フランチャイズは成長分野でもあり、多くの企業の成長を助ける素晴らしい経営システムだと確信していた私は、前述のような状況を少しでも解消したいと考えました。
そうした中で「我々のノウハウを活用してフランチャイズ本部の健全な発展に寄与したい」という考えのもと、もっと多くの方に我々の存在とノウハウを知っていただきたいと思うようになりました。
そこで、2000年、「ミラノエクスプレス(R)」というイタリアンレストランチェーンが、フランチャイズ本部を立ち上げる物語の中で、独自に体系化したフランチャイズ本部構築のノウハウを発表しようと、
「成功するフランチャイズ戦略」(ダイヤモンド社)を上梓しました。

成功するフランチャイズ戦略 FC導入9つのステップ

フランチャイズ関連図書は売れないから出版は難しいといわれながら、ダイヤモンド社の編集担当の方のご支援の下、何とか出版にこぎつけたのを覚えています。
おかげさまで当初予想より売れゆきは好調で何回か増刷することもできました。
さらに、韓国語版も出版され、当時のフランチャイズ関連本では最も売れた書籍の一つになりました。

この書籍は、2020年に「成功するFC戦略 フランチャイズ本部構築の9ステップ」(あおぞら書房)としてリニューアル版を出版しました。

成功するFC戦略 フランチャイズ本部構築の9ステップ

その後、続いて「失敗しないためのフランチャイズビジネス体験BOOK」「新建設業宣言」(ダイヤモンド社)、「本当は教えたくないフランチャイズ本部成功50の教え」(出版文化社)を出版しました。

この頃には、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の「スーパーバイザー学校」の講師を委託され、現在まで20年以上講師を続けています。

さらに、日本フランチャイズチェーン協会では「フランチャイズ本部構築講座」という新たに本部を立ち上げたい経営者向けの講座を開設し、現在まで継続しています。

また、スーパーバイザー学校に続く資格取得が可能な講座ということで経営幹部向けの講座「フランチャイズ経営士講座」も開設当初から講師を務めています。

今振り返ると、この頃から、アクアネットは、フランチャイズ専門のコンサルティング会社として、自他共に認識されるようになってきました。
また、このころに現在在籍している主要なコンサルタントスタッフが入社し、みんな20年を超えるキャリアを積んで活躍してくれています。
そして、これまで約300社のフランチャイズ本部構築をお手伝いさせて頂く機会を得ました。

業界を代表する大手チェーンに成長したクライアントや上場企業の仲間入りを果たしたクライアントを輩出するなど多くの実績を残すことができました。

【参照】アクアネットのコンサルティング実績

さらに、フランチャイズ本部の事業拡大を題材として、フィットネスクラブのフランチャイズ本部の成長物語を「ザ・フランチャイズ」(ダイヤモンド社)として出版しました。

ザ・フランチャイズ~ストーリーで読み解くFC経営成功の秘訣~

これまでの20年以上にわたる活動を通じて、フランチャイズ業界の健全な発展に少しは貢献できたのではないかと自負しております。

フランチャイズ業界の変化と今後の展望

私が、経営コンサルタントとして独立して、フランチャイズ業界にかかわるようになって約28年が経過しました。当然ながら世の中は大きく様変わりしました。

主な変化を列挙してみます。

フランチャイズ業界も、一時の成長スピードは影を潜め、毎年微増という低成長の時代に入りました(注:コロナ禍では一時的に微減に転じていますが、また成長基調に戻ると予測しています)。
また、社歴が30年を越える大手のフランチャイズ本部が増えてきました。
それに伴い、多くのフランチャイズ本部経験者が労働市場に輩出され、新規参入するフランチャイズ本部や中堅・中小のフランチャイズ本部でも経験者の採用が容易になってきました。
世の中のフランチャイズビジネスに関する認知度も高まり、日本経済の中でなくてはならないビジネス形態になりました。
従来は、脱サラなど個人が加盟する印象が強かったフランチャイズも、企業の新規事業進出の有効な手段として認知され、企業のフランチャイズ加盟も積極的なされるようになってきました。
中には、フランチャイズ本部が業容の拡大、自社空き物件の活用などを目的に、他のフランチャイズ本部に加盟する例もあります。

また、IT技術の進歩で、これまでは事業の差別化、パッケージ化、フランチャイズ化が難しかった業態(特にサービス業)がどんどんフランチャイズ展開するようになりました。
フランチャイズ本部の加盟店募集に関する情報もネットなどで容易に、しかも大量に入手できるようになりました。
SNSなど情報化の多様化、スマートフォンの普及によって、フランチャイズ本部と加盟店の関係も変わってきました。

それに伴い、フランチャイズ本部のサポート内容も変化が求められるようになっています。

このように、挙げだしたらキリがないほど多くの変化が起きています。

しかし、「FC本部と加盟店が同じ理念のもとで共存・共栄できる仕組み」というフランチャイズビジネスの本質が、大きく変わったわけではありません。

FC本部と加盟店が末永く共存・共栄できる仕組みをつくることでお互いが繫栄し続けられるフランチャイズチェーンをできるだけ数多くつくる!

このことをこれからも肝に銘じ、フランチャイズ本部の経営者の夢、悩みをともにしながら、FC本部のサポートを続けていこうと思います。

フランチャイズ本部の立ち上げやフランチャイズ本部運営改善など、フランチャイズビジネスに関わるどんなことでも、お気軽にご相談ください。

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