
業務改善のためにデジタルツールを取り入れる動きは、多くのフランチャイズ本部や中小企業でも広がってきました。ただ、よくあるつまずきが「どこから始めるか分からない」「うちには合わないかも」という迷いです。
前回は、まず業務フローを見える化し、業務が特定の人に偏っていないかを把握することが第一歩であるとお伝えしました。
今回はそこから一歩進んで、“分散”を意識したデジタル活用の考え方をご紹介します。
■「デジタル化=業務の置き換え」ではない
「ツールを入れれば効率化できる」と思われがちですが、実際にはその“使い方”次第。
とくにありがちなのが、WordやExcelなどのOfficeソフトを導入していても、
- ファイルが個人PCに保存されていて誰も見られない
- 似たようなファイルが複数存在し、どれが最新版か分からない
- 作成ルールや命名ルールが人によってバラバラ
といった“デジタルだけどアナログ”な運用です。
このような状態では、せっかくのツールも業務の属人化を助長してしまうことになりかねません。
■「支える仕組み」を小さな単位から整える
まず意識したいのは、「誰かがいなくても業務が止まらない状態をつくる」こと。
たとえば:
- ファイルはチームの共有フォルダに保存
- 同じフォーマットを全員が使う
- 手順や運用ルールを簡単に文書化する
こうした取り組みは、まず数人のチーム単位で始めるのがコツです。
加盟店対応チーム、SVグループ、総務など、少数で効果を実感できるところから整えると、他部署への展開もスムーズになります。
■生成AIは“導入”ではなく“試す”から
最近話題の生成AI(ChatGPTなど)も、いきなり社内導入を考える必要はありません。
まずは個人の業務サポートとして、「このメモを整理して」「業務手順をまとめて」と使ってみるだけでも、標準化やマニュアル作成の“入り口”として非常に有効です。
AIというと遠い存在に感じるかもしれませんが、すでに多くの人が使っているWordやExcelにも「Copilot」などが搭載されはじめています。
“AIに聞いてみる”という行動が、業務の属人性を緩和する一歩になるのです。
■分散=仕組みで支える組織へ
誰かの頭の中にあるノウハウを、みんなで使える形にする。
属人化した業務を、共有できる仕組みに変えていく。
それを支えるのが、小さな仕組みの工夫と、使えるツールの“使い方”の見直しです。
デジタル化は、業務を自動化することだけが目的ではありません。
「人に代わる」のではなく、「人を支える」ためにこそ、活かされるべきものではないでしょうか。
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