今年もあとわずかとなりました。皆さまの今年はどんな年でしたか?令和元年ということで、何か新たな時代が始まったような感覚もある一面、経営環境は相変わらず先行きの不透明感が増しているという方も多いのではないでしょうか。
さて、一年の終わりにあたって、フランチャイズ業界の一年を振り返ってみましょう。
最大のニュースは、コンビニの24時間問題でしょうか。セブン-イレブンの東大阪店のオーナーの告発からマスコミで大きく取り上げられるようになって、コンビニ業界全体の問題として、24時間営業の見直し機運が高まり、セブン‐イレブンでは、ロイヤルティ(チャージ)の減額にまで及び、フランチャイズシステムそのものを見直すという流れとなっています。
フランチャイズ業界を牽引してきた大手コンビニ各社が売上高の伸び悩みと人手不足と人件費の高騰による加盟店の利益減少という共通の問題への対処を迫られているのが現状です。この構図は、コンビニエンス業界だけのものではなく、フランチャイズチェーン各社共通の悩みでもあります。1963年に始まった日本のフランチャイズチェーンですが、56年の時を経て多くのFC本部のフランチャイズパッケージが経営環境の変化に適応しきれなくなっているということです。
現在の大手コンビニチェーンのように、フランチャイズチェーンにおいては、本部は利益が出ているが多くの加盟店では利益が出ていないということは、店舗での競争力が失われてくるとよく起こる現象です。しかし、そういった状況が長く続くとチェーンとしてその存続が危ぶまれます。
フランチャイズチェーンとして発展を維持するためには、加盟店がきちんと利益を出せる体制づくりが不可欠です。そのために必要なことは、まず業態としての競争力を高めるための取り組みを継続的に行っているかどうか。例えば、新商品開発や新たな営業方法の開発による顧客獲得ができているかどうか、店舗の出店立地の見直しによって、新たな顧客層の獲得ができているかどうか、など。さらに、利益を高めるために、固定費削減のための新たな取り組みができているか、例えば、人件費削減のためのIT化の推進やロボットの活用など。また、フランチャイズシステムの制度変更による加盟店オーナーの事業への取り組み意欲の喚起ができているか、たとえば、ロイヤルティの減額などを含むインセンティブ策の導入、スーパーバイザーによる個店対策の強化など。
フランチャイズチェーンは、本部と加盟店の協業で成り立っています。本部だけ儲かっても、加盟店だけ利益が出ても、維持できません。限られた利益をお互いに如何にうまく分け合えるかが、フランチャイズチェーン存続の鍵です。
その観点で、自社のフランチャイズシステムが、時代に合っているかどうか、お互いの利益バランスに問題がないかなどを冷静に見直してはいかがですか?
100年フランチャイズを目指して…。